医療分野でのAIの現状 遺伝子疾患、難病や自閉症、アルツハイマーなど早期診断の手がかりに

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徐々に活躍の場を広げ、進化を続ける人工知能(AI)。AIは人間の脅威になると唱える悲観論者もいますが、医療の分野では健康問題を発見する上でかつてない有力な手助けをしつつあるようです。

Thanks to AI, Computers Can Now See Your Health Problems | https://www.wired.com/2017/01/computers-can-tell-glance-youve-got-genetic-disorders/?mbid=social_twitter

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via: photo AC

 

「FACE2GENE」のアプリで難病を数分で特定

 

FACE2GENE | https://suite.face2gene.com/

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20代後半の白人夫婦の下に生まれたAさん。生後数か月たって、異変が起こりました。次々に耳の感染症にかかり、また夜には呼吸困難な症状がみられました。年齢の割には体が小さく、5歳になっても話すことができませんでした。さらには痙攣も起きるようになり、脳のMRI検査、分子解析、遺伝子検査、複数の医師の診察など様々な方法を試しましたが、原因が特定できませんでした。2015年に、エクソーム解析(全ゲノムのうち、エキソン配列のみを解析する方法。遺伝子疾患の多くがこの領域での変異により引き起こされる。)を行うことを決心。その結果、突然変異体であるARID1Bが発見されました。この変異体はコフィン・シリス症候群を引き起こしますが、Aさんにはその典型的な症状(頭髪が薄い、小指の無・低形成等)がまったく見られなかったため、なかなか特定できませんでした。ところが担当医のGrippさんがAさんの顔写真を「Face2Gene」にアップロードしたところ、ほんの数分でコフィン・シリス症候群と診断。複数の医師が数年かかっても特定できなかった病名を、たった数分でつきとめたのです!

 

「Face2Gene」の診断の根拠

「Face2Gene」の開発チームはFacebookの顔認証機能と同じメンバーです。目の下垂、眼瞼裂(目の切れ目)の狭小、耳の位置の低さ等の程度を高速で計算・定量化し、最も可能性が高い疾患を導き出します。また疾患と関連の高い特徴を顔写真上にヒートマップで示すことも可能です。

Aさんの担当医のGrippさんは「後から考えてみると、すべてつじつまが合いました。」「しかし、その前には誰も思いつきませんでした。」と話しています。

 

自閉症やアルツハイマーも

機械学習によって診断できるのは遺伝子的症候群に限りません。「RightEye GeoPref Autism Test」を利用すれば、生後12カ月以上の幼児の自閉症の有無を診断できます。ちなみに自閉症の場合、生後12カ月に早期療育を行うかどうかでその後の発育に大きな差が出ると言われています。

RightEyeのテストでは、2分割の画面で動画を見せ被験者の目の動きを赤外線センサで感知。画面の1つは人や顔が、もう1方は幾何学的模様が動いており、各画像を見ている時間によって自閉症の可能性を測るもの。このテスト考案者であるKaren Pierceさんによる検証の結果、400人以上の幼児を対象に86%の精度で自閉症を予測しました。このテストはまだ完成間もないため、FDAからの承認は得ていません。RightEyeのチーフ・サイエンス・オフィサーであるMelissa Hunfalvayさんは「『機械学習』の分野においては、これは非常にシンプルなテストです。」「しかしこのテストが完成する以前は、医師か親の観察に基づく診断しかできなかったのです。その問題点は、定量化できない点です。」と話しています。

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via: photo AC

さらに、同様のツールがアルツハイマー病の発見にも役立つ可能性があるようです。トロントベースのWinterlight Labsでは、認知症の早期発見の手がかりを得るツールを開発中です。共同設立者のFrank Rudziczさんによれば、その手がかりとは発話中に見られる認知障害のサインであり、それはコンピュータだけに聞こえるウェーブレットであるとのことです。現時点ではベータ版ですが、カナダ、アメリカ合衆国、フランスにおいて医療分野のプロフェッショナルたちに試験的に使われています。

 

AIが人間の医師に取って代わる?

医師たちは診断を下す際に、コンピュータから得られる結果を信頼しているようです。その理由は、コンピューターの方が人間よりはるかに敏感に、体内で生じている不調和のサインを発見・分析できるからです。例えば、コンピューターの力を借りなければAさんのゲノムを何千もの他のゲノムと比較することができず、コフィン・シリス症候群の根拠となる突然変異体も発見できなかったのです。

しかしながら、人間の医師が不要になることはありません。「Face2Gene」でさえも、8,000あると言われる遺伝子症候群のうち、診断できるのは半分であること、かつ「Face2Gene」の導き出した診断結果を検証できる十分な経験のある医師が必要です。

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