韓国のスタートアップYbrain社のヘッドバンド うつ病治療に期待

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 過去11年間において、韓国はOECD(経済協力開発機構)加盟国の中で最も高い自殺率を記録しています。慢性的な精神疾患の患者数が増加していますが、多くの韓国人は病院での治療に消極的です。
2013年に韓国で設立されたスタートアップ「Ybrain」がこの問題を解決すべく、精神的疾患を自宅で治療できるヘッドバンド「Mindd」を開発しました。

[Health-tech Korea] Ybrain headband takes aim at depression | http://www.koreaherald.com/view.php?ud=20170618000154

ybrain | http://ybrain.com/en/#row-technology

ヘッドバンド「Mindd」とYbrain CEOのLee Ki-wonさん。

 

ヘッドバンド「Mindd」とは?

  過去4年間で900万ドルの資金を得て、Ybrainはうつ病治療用のヘッドバンド「Mindd」を製品化しました。この「Mindd」は2017年3月、韓国の国家行政機関MFDS(食品医薬品安全処)によってうつ病治療用の医療用ウェアラブルとして認可された後、韓国でリリースされました。
「現在は病院でのみ運用していますが、誰もが自宅で治療を受けられ、世界中のうつ病治療率
が向上することを究極の目標としています。」とYbrainのCEO、Lee Ki-wonさんがインタビューで述べています。

治療の仕組み

 このデバイスは直電流を用いた経頭蓋刺激によってうつ症状を治療します。うつ状態の際に不活性化すると言われる脳の前頭葉に対し、わずかな電流を流し刺激するのです。
重量は150gで、「Mindd」には額にあてる部分に吸水パッドがついており、使用前にパッドを生理食塩水に浸す必要があります。このパッド経由で電流を流すことによって前頭葉の神経を刺激します。

 電流が流れるときには軽くピリピリとした感じがするそうです。この「Mindd」で発生した電波のうち脳に到達するのはたったの20%。Ybrainによれば、この治療法によってうつ病の改善が見られるものの副作用は一切報告されていないそうです。
 

 さらにうつ病患者は通常、治療の一環として薬を内服する必要がありますが、患者が必要量を服用したかどうかを医師が確認できる方法が現在ありません。

 しかしながら患者が「Mindd」を使用すれば、その記録が残ります。電気治療の記録に加えて、運動レベルや睡眠時間もスマートフォンアプリを通して記録できます。このデータは自動的に医師に送信され、その結果治療の改善に役立つのです。
 「これまでは患者の主観的な記憶に基づいていたものを、客観的に記録することによって、治療の質を向上させたいです。」とCEOのLeeさんは述べています。

「Mindd」の信頼性は?

 現在のところ、「Mindd」はソウル市内外の12の主要な病院で運用されています。Ybrainでは2017年内に約150の病院に導入し、少なくとも3,000人の患者に利用してもらうことを目標としているそうです。

via: photo AC

 またグローバル展開を目指す同社は、アメリカのハーバードメディカルスクールで500人の「Mindd」利用者を対象としたうつ病の臨床研究を開始しました。韓国で収集された臨床試験データに加えて、ハーバードの研究結果は「Mindd」の信頼性を強化すると期待されていると、CEOのLeeさんは伝えています。
 2017年7月にはEMA(欧州医薬品庁)の公式認定を取得し、2019年までにはFDA(アメリカ食品医薬品局)からの認可取得も目指しているそうです。

via: photo AC

 さらに「Mindd」の進化版も開発中とのこと。この進化版「Y Band」はハイドロゲル素材を使用し、使用前に吸水パッドを生理食塩水に浸す必要がない。リリースは2018年になる予定。

「総じて、精神疾患は他の疾患と比較して効果的な治療法が不足しています。日々たくさんの人々がうつ病で苦しんでいます。それなのに治療法の探索はほとんどなされていません。」「当社のデバイスによって、自宅でくつろぎながらうつ病を治療する選択肢を提供し、この問題解決に貢献できればと願っています。」とLeeさんは述べています。


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