3Dプリントで複数の薬を1錠にまとめることが可能に!

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薬の飲み忘れに悩む方々へ朗報です!イギリスのイースト・アングリア大学(the University of East Anglia、UEA)の研究で、3Dプリントによって、1日に服用する薬を1錠にまとめることができる、画期的な製造方法が発表されました。

 


 

3Dプリント製の薬研究がブーム

最近5年間で、3Dプリントで薬を製造する方法について、その研究開発が学術機関や企業で急速に進められています。従来の薬の製造方法は、粉状にした薬に高い圧力をかけ、全成分一緒に錠剤に形成します。一方、3Dプリンティングでは、歯磨きペーストを絞り出すように、麵状のフィラメントを積み重ね、層を形成していく方法が一般的です。そのため、層ごとに成分や形状を変えることが可能です。

この3Dプリント利用の製造方法は、現時点ではほとんどの研究において、体内で消化できない医療用プラスチックを使用しているため、主要な規制当局に承認された3Dプリント製の薬はまだ存在しません。

 

UEAの開発チームによる新しい製造方法

 

フィラメント不要

3Dプリンタを利用する方法の大多数では、事前に薬をフィラメントに加工する必要があります(下図「Filament deposition」参照)。
一方、UEAが発表した製造過程ではフィラメントを使用しません(下図「Droplet deposition」参照)。その分、製造にかかる時間が短縮できます。
また、細かい粉状になった薬をポリマーで固める方法により、プラスチックを使いません。

出典:ScienceDirect

 

多孔性のレイヤー(層)で時間調節

圧力をかけて押し固める従来の製法に比べて、3Dプリントを使用することで、薬の形状をより自由に作ることができます。UEAの開発チームを率いるQi氏によれば、幾何学的な模様で薬の多孔性を変化させ、薬の吸収率の違いを実験したとのこと。(下図「Porosity controlled drug release」参照)。
今回開発された方法では、3Dプリンタで形成する層は小さな穴の多い(多孔性)構造になっていて、穴の大きさにより、錠剤内の薬成分が体内に放出される時間を調整できることを明らかにしました。全体積の20%が薬成分で、残りは空気といった多孔性が高い構造では、たった12分で薬は溶けてしまい、比率が逆の構造(20%が空気、残りは薬成分)では、2時間以上もかかったという数値も公表されています。多孔性の高い薬であれば、胃液に接触する表面積が増え、体内へ吸収されるまでの時間が短くなり、多孔性が低くなるほど、溶けるまでに時間がかかるという原理です。

出典:ScienceDirect

 

今後の課題

個人の服用量や服用回数にあった適切な薬を提供するため、多孔性の構造をいかに調節するか、今後より詳細な研究が必要です。また、3Dプリントでは1錠作成するのに、最短でも1分かかるのが現状で、従来の製法に比べてかなりの時間がかかる点も改良が望まれます。 なお、アメリカでは、FDA(米国食品医薬品局)が米国国立標準技術研究所と共同で、3Dプリント製の薬のガイドラインを作成中とのことです。

出典:Fast Company, University of East Anglia

アイキャッチ画像:PexelsによるPixabayからの画像


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